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ありぶれた奇跡(3)

ありふれた奇跡(3)

最終回(第11回)が、終わってしまいました。
中条家、田崎家の人々、藤本さん、警官の権藤さんなど、それぞれの人の心の機微が十分に描かれていました。そんなに人は急に変われるものではない。でも他人と関ろうとすることで、自分でも意識せずにゆっくりとでも人は変わることができるのだということを、このドラマから教わったような気がします。

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主人公の翔太と加奈。過去に傷を負ってそれを隠しながら、外見は普通に見えるようにやっとのことで振舞ってきた二人が、藤本さんの自殺を止めたことで偶然に知り合ってから、お互いに惹かれながら、自分の抱えている問題に相手を巻き込みたくないと、気配りをするあまり、かえって家族を巻き込んでうまく行かなくなっていきます。最後も自分たちのためではなく(というところが翔太らしいのですが)、神戸さん(単身で紋別から出稼ぎに来ている無口な職人さん=ちりとてちんのお父さん役の松重さん好演)のために、引きこもりだった翔太が、いつも頭ごなしに他人を押さえつけるおじいちゃんが「他人は信用しない。それが俺の人生だ」と言ったのに対して、「それじゃ、ずっと一人じゃないか、だれかに心を開くことがないじゃないか」と初めて本気で反抗します。
翔太をここまで変えたのは加奈との関りがあったからです。お互いに相手が自分で認識していない長所を理解して、それぞれ伝えることで変わっていき、自分は相手にとって必要な存在だ、自分は生きている価値があるのだと徐々に認識していくことができたのです。

戦災孤児から一人で事業をたたき上げたじいちゃんは、家族以外の他人は信用しない、おまけにお嫁さんのお尻をさわるという、セクハラ癖を持つとんでもない人物ですが、それでもあの年齢で変わることが出来たのは完全に変われない人はいない。だれでも少しは柔らかい心が残っていて、それを翔太が目覚めさせたのだと言いたかったのかと思います。

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翔太の父重雄(風間杜夫さん)と母律子(キムラ緑子さん)の夫婦は結果として二人ともじいちゃんから逃げ出したり、追い出されてして狭いアパートでもとの鞘に納まるのですが、父ちゃんは浮気をして出ていった元妻を咎めるでもなく、お互いに本音をぶつけあって楽しそうでうらやまい光景でした。あれではじいちゃんが本当は自分が寂しいのを隠して「ケンカをして直ぐに戻ってくる」と強がりをいっても、二人が出ていった理由が自分だと理解できないうちは戻らないでしょう。

最終回の加奈の母桂がアパートを訪ねたときの母親二人の対面の場面とセリフは見事でした。
翔太なんかで手を打たないで金持ちのどら息子でも見つけたほうがいいんじゃない。」、「いいとこの人は怒らせないとあいさつばっかりしているから」、とか「ハチャメチャに生きようとしたけど、気がついたら元亭主と暮らしている」、と律子に言われ、本音を引き出される桂。これまでかぶってきた仮面を捨てて人と向き合うことができた名シーンだと思いました。後の家族同士の対面時に「いい奥様だわ」と称えます。

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「悲しいことには、きっといいことが付いてくる」
第1回から最終回まで至福の時間を持つことができました。

 

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テーマ:ありふれた奇跡 - ジャンル:テレビ・ラジオ

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