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パーマネント野ばら(3)

映画「パーマネント野ばら」(3)


再度、映画館に行ってきました。舞台挨拶付きの初日では見逃していたところ、腑に落ちなかったところが今回でかなり理解できました。ストーリーは前回や原作でわかっているはずでしたが、改めて登場人物それぞれの心情が理解できるにつれ、思わず目頭があつくなるシーンが増えました。

(以下、ネタばれあり)
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なおこ(菅野美穂)が離婚した相手は、映画ではピンぼけで表現してあり、離婚した原因は説明されていませんが、「何でも一人でできる人だった」相手だったため、結婚していても孤独感に苛まされてしまい、「1つのさやに入っていなかった」状態だったため、離婚したのだと思いました。離婚後のなおこにはもう、元夫の姿は見えていません。離婚して故郷と実家に戻っても、愛すべき相手がいない状態から、次第に高校時代の教師カシマとの思い出の世界に陥るようになっていきます。カシマと逢っているときの仕草や表情が10代のように初々しいのはこのためだと納得できました。
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みっちゃん(小池栄子)の並外れたはちきんぶりにも、再度見ほれました。役立たずのダメ亭主(ちりとてちん四草役の加藤虎ノ介さん好演)でも いないよりまし と、愛憎相半ばする激情を持つ女を熱演していました。ラストに近く、なおこがデート中と聞いて野ばらの中にいた女達が、一瞬息をのんだことで、なおこの周りの人達が不安定ななおこを、そのまま受け入れて見守っていたことがわかりますが、これに対しみっちゃんは「大丈夫」とさらに深い理解で支えています。そのみっちゃんの離婚記念パーティで、今度は店の男達が次々にやさしい言葉をかけられて泣いてしまうシーンも大好きな場面です。

なおこの娘であるもも(畠山紬)も、なおこが、普通にお母さんをしている時は素直に、別の世界に入ってしまっているなおこには、こわいものを見るような冷たい視線を送っており、母親に対しての視線が、ともこの状態に応じて変わっていくありさまを見事に表現していました。最後には母親の状態を察して、けなげに幼い自分一人だけで遠くまで迎えに行きます。

主役の菅野美穂さん、普通に生活している時、カシマとの世界にいる時になおこが見ている世界、その状態での客観的な姿と、表情の他、髪型、服装も含めて見事に演じ分けていました。「ちゅらさん4」のツンデレ作家、城ノ内真理亜役さんの演技も好きでした。
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原作も含めたこの映画の舞台の高知県の片田舎が東京などの都会から遠く離れており、しかも漁村だということが、物語の通底に流れている気がしました。太平洋を望む漁村では、男達は夜に陸風に乗って漁に行き、朝帰ると寝るか遊びにいくかで、漁の水揚げ、後片付け、野良仕事、家の家事や子育てなどは、あてにならない男達を見限った女達が頑張ってこなし、たとえパンチパーマをしていても、地に足がついた生活をしています。日々の地道な積み重ねで収穫する農村と、水揚げはその日の海次第という漁村では生活が異なります。理想的に描いているのかも知れませんが、同じ地方でも漁村では、良く言えば独立独歩で、周りに気をつかうことや、余分なおせっかいが少ない感じがします。

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原作者の西原理恵子さんもアジアをよく旅しており、子供達も現地の子とすぐ区別が付かないほど馴染む様子が「毎日かあさん」に描かれていますが、この映画の舞台の漁村は東南アジアの匂いがします。過去読んだ本に宮本常一著「忘れ去られた日本人」にも、昔の日本でも当時の支配体制の枠外にいた人達ほど、夜這いなど自由奔放な生き方をしていた様が描かれています。なおこの義理の父(ニューお父さん)や、みっちゃんの旦那のような人は国の中央の管理体制から最も遠くで生きており、さらには一夫一妻制の意識も薄く、奔放に生きられるのかしれません。また、都会では、あれほど濃密になおこのことを気遣ってくれる友達や近所のおばさんたちは存在しえないでしょう。

過去記事に、原作を西原理恵子の最高傑作と書きました。映画は漫画とは媒体が異なり、原作をそのまま表現するのは困難だと思いますが、本映画はオリジナルな表現部分を含め、私にとって原作同様に心に残る傑作となりました。




過去のパーマネント野ばら記事へのリンク
原作
映画「パーマネント野ばら」(1)初回舞台挨拶、その(2)




下ネタの連発もあり、広く大衆受けする映画ではないと思いますが、客の少なさには心配してしまいます。200名以上は入ると思われる劇場で20人程度の入りでした。リピータにはシニア割引は有難いです。
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