ありふれた奇跡(4) 加奈と翔太 DVDの発売と再放送を心まちにしていますが、それでも、余韻さめやらず、録画を再三見直す日々です。翔太と加奈が偶然知り合ってから、お互いに気持ちを固め、最終回の団円に至るまでの家族を巻き込みながらの、気持ちの細やかな変化を、描ききっていました。セリフが万感の思い全てを語っていると思うので感想の代わりに翔太と加奈のせりふで表してみます。 自殺を一緒に止めたという理由だけで知りあった二人は、最初、気にはなっているものの気持ちはすれ違いの連続です。人あるいは異性と接触する機会の少ない左官という仕事でやっとのことで生きている翔太は はっきりいいます。本当の気持をはっきりいいます おれはいまはっきり人生はすばらしいと思っています。加奈さんとこうしていることにびっくりしています 本当にきれいです。いま込み上げるように、この世はすばらしいという気持がこんなきれいな人とおれはいまデートしている 思ってもいなかった。人生はすばらしい。生きていればなにが起こるかわからない。生きなきゃいけない、本気でそう思っています と、舞い上がっています。 一方で加奈は、 過去のことで恋愛関係には臆病で、子供ができないという引け目を抱えていますが、事件が起こるまでは裕福な家庭に育った挫折の経験もあまりない美人で、人に説明するという職業でもあり、過去の傷に関係しない通常の人間関係では慣れています。翔太の賞賛に好きだという気持ちを感じて、疑いを持ってしまいます。 嘘ばっかり、急にそんなこといったって、ごまかさないで あわてて、心にもないことを デートなんかしてません よして、からかうなんてひどい こんな二人ですが、「死のうとしたことのある人の会」で 「こうやって会うのはいいんだけど、きれいとかそういうことを言う付き合いじゃなくてただその会うというか」に対して「友達として?そのつもりだけど。それ以上の感情はまだ無理でしょう」、「デートじゃない、デートじゃないって。」といいつつ会ったり、翔太が祖母に対しボランティアをしたことに対して「関心があるなら私と向き合って」と言い、気持ちは揺らぐものの、恋愛感情を持つのが怖い微妙な時期の心情を表し始めます。 翔太の自殺を考えた経緯の告白「殴ったりはしなかったけど、胸ぐらつかまれて、こんなふうに顔つっこんで、ツバ飛ばされて、ひざまずかされて、とことん侮辱された。無能だ。クズだ。怠け者だ。苛々する。給料泥棒だ。でも、それはその通りだからしょうがない」 「おびえた犬みたいだった、おどおど卑屈で、なに言われても切れない。怒れない。かえって課長に愛想笑いをして、お疲れさまでした、なんて、すがりつきそうで」と嗚咽しながら苦吟したのに、「もういい」と抱きしめて自分から少し動き始めます。 翔太の家を訪問し、「驚いた。この部屋だけ別の世界みたい、上半身縛られている?でも踊りたい?」 と自ら踊りだしその後、夕陽のなかで静かにキスをします。
気持ちが動いていっても翔太が子供好きなことを知り、自分が子供ができない体であることから、かえって翔太と疎遠になろうとします。 「子どもなんかいらない。子どものために結婚したいんじゃない、子どもいなくて、ちっとも構わない。気持は決まっている」「結婚ってなによ、私が決まってないの」「子どもほしいの、だからずっと辛くて、ずっと情けなくて、死のうとしたときもあって」 「おれの気持は変わらない」 「すぐ決めたことはすぐ変わる」 「変わらない」 「どうしてそんなにきっぱり言えるの。人の気持、なんだと思っているの」 「舞い上がってる翔太さんが醒めたときが怖いの」 「子どもについては醒めてるつもりだよ。子どもがいらない夫婦なんていくらでもいるし」 「いくらいたって関係ないの。私じゃないもの。私はいらないなんて思ってない。」 と、気持ちがずれたままです。 加奈の父に傷口に塩をすりこまれるような仕打ちをされた後、 「私が結婚はなしと言ったのは、翔太さんがダメなやつだからじゃありません。」 「少し並より優しいところがあるけれど、それ欠点ですか?抜けてるところもあるけど、気持ちがわかるし、底の底まで当たり前で。スキのない鈍感な人よりずっといい。」 「でも結婚はなし。」 「そう、なし。今はあまりに簡単に私の人生に引っ張り込めそうだから、怖くてなし。」 何言ってるかわからない」 「わからないはずがない」 「わかったってしょうがない。結論は、結婚はなし」 「そう、なし」 「バカヤロー」 「そっちもバカヤロー」 ようやく、素顔同士で向かえられるようになってきました。 でも、気持ちは簡単には変わりません。 「本当に子どもいらない?何度聞いてもダメなの。何度聞いても不安が残るの。ダメなの。もう。どうかしてるの。会わないでいましょ。それが平気になるまで。」 久々に藤本さんの消息にかこつけて二人が会って 「黙るとまいるな。」 「俺が加奈さんだったら、俺なんか好きにならない」 「でも、どうして、会いたくなるんだろ」 「たぶん、なにか俺に幻想を抱いているんだろう」 「そうかも」 「よく知り合えば消えてしまう幻想」 「じゃあ、よく知り合いたくない」 「そうしたい」 と離れて行きそうになりますが、加奈が 「ケルトの。ケルトの話をして。ケルトの昔話」 と必死の思いで引き留めます。 セリフにエコーがかかって音を発しない、心の声を聴いているようでその後の別れのシーンとともに、二人の心がぐっと近づいたと思わせる切ない場面でした。 加奈さんへ もっと長くいっしょにいたかったのに、こわくって逃げました。 またこわいの? 久しぶりで会って、いい時間だったのに、ダメにしてしまいそうで。 どうしてダメに? 藤本さんを心配して会ったのに、いつのまにか、藤本さんを忘れてた。 あたしもそう、わたしも。 そのうえ そのうえ、何? バカなことを言ってしまいそうで。 どんな、どんなバカなこと? メールでも言えない? 「ホテルへ 行こう」って。 バカなことじゃない。 藤本さんのことで会ったのに。 ホテルはもともと私が言い出したこと。 でも、それで終わりなら絶対やだと言ったのに。 今度会ったら、行きましょう。 でも、それで終わりなら、イヤだ。それで終わりなんてやだ。 「俺達、無力じゃなかった。警察に届けないで、本気であのぼうやを大事にした。 朝日のせいかもしれないけど。俺たち、無力じゃなかった。」
御覧いただきありがとうございます。何を書いてもまとまりそうもない「ありふれた奇跡」です。 「群盲、象を撫でる」という感じ(一人ですが)、という感じで、とりとめもなく何を書いているのか自分でもわjかりませんが、何か書かずにはおられませんでした。
テーマ:ありふれた奇跡 - ジャンル:テレビ・ラジオ
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